「針灸おじさん」＝具志堅興清

３、４０１１―〇　『　「完全主義」（完璧主義）は周りをダメにする　』

　「完全主義」（完璧主義）は周りの人間をダメにしてしまいます。

　「完全主義」は周りの人間の心を破壊します。

　「完全主義」は、自分自身の弱点にも厳しく、自分以外の人間の弱点にも厳しくなります。

　私が敢えて「完全主義者」と言わずに「完全主義」と表現するのは、この世に「完全主義者」なんか存在しないからです。

　本人が、いくら「完全主義」を理想にして信奉したところで、人間である以上、「完全主義」を体現した完全無欠な「完全主義者」にはなれません。

　ところが、スポーツや技芸等の分野で、若くして挫折もなく頂点を極めた「強運」の人間の中には、自分を「完全主義者だ」と思い込んでいる方が少なくありません。

　「強運」という意味は、彼が、たまたま自分が進んだ分野において有利な「特殊才能」や「体力」や「体質」や「気力」に人一倍に恵まれていたことをいいます。

　彼らが、その道の指導者に昇りつめた時、たいてい悲劇が起こります。

　彼の中の「完全主義」が周りの「不完全な人間」を次々とダメにしてしまうからです。

　彼らの中の「完全主義」が周りの「不完全な人間」の弱い心を次々と破壊してしまうからです。

　人間の有する最も価値あるものは「弱い心」なのです。

相手の「弱点」を許容して温かく包み込めるのは、かって自分の「弱い心」に苦しんだ人にしか出来ない行為なのです。

　最も価値のある「弱い心」を破壊する権利は神（造物主）にさえ許されてはおりません。